2025.08.02 O.A.
できなかったことができるために 情熱の療育現場に密着
広島県の西部にあるクォーレの事業内容は、福祉事業部と教育事業部に分かれている。
福祉事業部は主に、訪問介護居宅介護支援事業を行っている。
その一方で、教育事業部では、児童発達支援 放課後等デイサービスを展開している。
その内容は、発達に難しさがある子どもの療育である。
クォーレの療育はまず、スケジュールの把握と、整理整頓から始まる。
靴をそろえて、決められたところに置く練習。
そして、自分の持ち物を確認出来たら、療育開始。
まずは運動から。指導員の声に合わせて、決められた動きをしてゆく。
その中で指導員たちは声掛けをし、子どもたちの動作ひとつひとつを必ず評価する。
子どもたちは決められた場所で、決められた動きができるようになる。
そして、さまざまな基礎能力を養う。
運動の時間の後片付けも、音楽にのせて子どもたちが協力して行う。
整理整頓することで、脳のワーキングメモリー能力が向上すると、今西代表は語る。
クォーレの療育の考え方の中心にワーキングメモリーがあり、ワーキングメモリーには短期記憶同時処理能力のほかに、注意力の行動抑制・想像や見通しをつけるというような能力も含まれている。
座学の時間では、それぞれの子どもたちのレベルに合わせた内容のテキストで勉強が行われる。
激しい運動から一転して、静かに問題を解く。
この行動にも、動から静、脳の中のドーパミンとセロトニンの分泌を刺激して、抑制能力を高める狙いがあるという。
揃えられた足先、机に座る姿勢なども、大切。
チームに分かれて音読や、先読みして考える力を伸ばす百人一首のかるたなどが行われる。
すべての課題に子どもたちは挑戦する。
そして、できたことは全力で、指導員がほめる。
クォーレの指導員は、頻繁に定期研修を行っている。
訪れたのは、クォーレプレミオ、五日市中央教室。
この日も、各教室の指導員たちが集まり、研修を行っていた。
響き渡る、全力の声。
指導員たちは、それぞれ先生役と子ども役を持ち回りで演じ、それぞれの立場で体感する。
できたことをほめる これを大前提に、一人一人に向き合った
きめの細かい声掛けを目指しているという。
実際、クォーレの療育を受けている保護者に、話を聞いてみた。
「生活の一部になってきた なくてはならない」
「足し算とか掛け算とかが徐々にできるようになってきていて
すごく成長を感じます」
「私の子どもは保育園の年少・年中ぐらいまで発語がなかったんです。クォーレさんで療育をしていただき、『ママ』って息子が声を掛けてくれたのが涙が出るほど嬉しかった」
今西代表は語る
「私たちの目標は遅くとも中学校入学までには普通に学校生活を送れるよう療育をしていきます。
私たちは療育結果を出さなければいけないという責任感を持ち続けています。
療育教育に100点満点はありません。
永遠に100点を目指し続けることが宿命だと思っています」
今回のポイントは「現地・現物・現実から生まれる価値」
―個性的な子供たちの教育は自立した生活を送れる取組みを深めるのですね―
今西社長にクォーレの教育に対する考えを聞いたところ、教室に来る子供の状況に合わせた
教育内容を設定し、健常者以上の能力を引き出し、特にコミュニケーション能力を高め、考えて
行動できるようにしていく。日常生活が気持ちよく送れるようにしていく。保育ではなく習い事
ととらえてもらいたい、とのこと。生活習慣を育成するため視覚構造という、ものを定位置に
戻す訓練を行い、やがては位置を示さなくても戻せるようにしていく。社会生活へ配慮する
発達を促していく。
―クォーレの独特な事業はどうやって生まれたのでしょうか―
今西社長に沿革を聞いたところ、先々代は自動車部品メーカーから始まり、介護保険が開始
されるころに有償ボランティアから介護事業へ参入。その後先々代が亡くなり数年して入社し、製造業と介護業の経営を並行して進め、現在は介護・教育事業に専念されている。
―教育事業は新事業として立ち上げたのですね。業態が変わったのですね―
教育事業を開始したのは現地・現物・現実の中で、今西社長が必要でありやりたい思い、
情熱から立上げ進めている。最近まで現場で教員・スタッフへ指示・支援し教育事業を成長させてきている。分野は違っても、新事業は現場にいて考えることで生まれたと言える。
新事業は様々な困難を伴う。推進力は情熱を注ぎこみ続けることにある。その成果が新しい価値を伴うクォーレの教育事業に垣間見える。実績を上げていけば収益は後でついてくる。社内にも
行動につながる達成目標をたてて進めようと呼びかけ、全社員で取り組んでいる。。
―教員やスタッフの教育にも力を入れているようですね―
教員には定期的に模擬授業などの教育試験制度により研鑽を積むとともに、社内プレゼン
テーションコンクールを行っている。これは社員がやってみたいことを提案する制度で、
実際にプレコンから始まった新規事業として、10月から新たに学習塾事業を開始する。
社員一人一人がアイデアを出し合い、会社がバックアップしていく。
会社を継続させるためには、共に考え、共に実行していくことが重要と考えているとのこと。
新たなる価値の創造は「現地・現物・現実から生まれる価値」である。
新事業を起こす情熱企業 クォーレのさらなる成長を期待したい。
会社名 | 株式会社クォーレ |
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業種 | 教育,学習支援業 |
事業内容 | ◆福祉事業部・訪問介護事業 (広島県指定)・居宅介護支援事業 (広島県指定)・障害福祉居宅介護事業 (広島市指定)・介護タクシー (国土交通省認可)・各種養成事業(初任者研修・ガイドヘルパー・有償運送運転者講習)◆教育部・放課後等デイサービス(広島市指定)◆教育事業・児童発達支援(広島市指定)運営 |
代表者 | 代表取締役 今西 義久 |
従業員数 | 90名 |
所在地 | 広島市佐伯区観音台二丁目30番6号 |
お問い合わせ | 082-943-9090 |
ホームページ | https://www.qolegroup.com/ |