広島地域 8ch

毎週土曜日 朝11時35分放送(土曜日 深夜再放送中)

独自の価値を創造する企業をテレビ新広島とTSSプロダクションが総力取材

放送内容 過去に放送した番組をご覧ください。

2017.08.20 O.A.

圧電フィルムで新産業を創出

公益財団法人やまぐち産業振興財団
新たなる価値創造 新たなる産業創出

やまぐち産業振興財団が今、注目しているのが、圧電フィルムです。厚さは、0.01ミリ。フィルムに加えられた圧力や振動を電気に変換、あるいは加えた電気を圧力や振動に変換することができます。例えば、圧電フィルムの先にLEDを取り付けたものに振動を与えるとLEDが点灯します。やまぐち産業振興財団が、4年前から取り組んでいるのが山口県圧電デバイス研究会です。
山口県内の企業、学術研究機関、行政、公的支援機関、いわゆる「産学公」が連携し、圧電フィルムを用いた新規産業の創出に挑んでいます。現在、山口県内にある2つの企業により製品の開発が進んでいます。

機械トラブル・メンテナンスに音を感知

圧電フィルムを用いた新製品の開発に挑んでいるのが、山口県下関市に本社を構えるJRCS株式会社です。タンカーやコンテナ船、フェリーなど船舶用の配電盤や制御盤を製作し、世界中に製品を届けています。開発が進められているのは、聴音装置。機械から出る音を電気的に取り出そうというものです。装置に組み込まれた圧電フィルムが音の振動を電気信号に変換し、ケーブルを伝わってPCやタブレット、スマートフォンの画面に波形を表示します。つまり、音を可視化する装置です。工場内などの騒音下でも、周囲の雑音をカットして対象物の音をダイレクトに採取できます。これまで、機械の音は経験豊富な職人が、その耳で聞き分け、機械に異常がないかをチェックしていました。この装置を使えば、誰でも定量的な診断ができるようになります。

社会インフラを守る

圧電フィルムを用いた新たなシステムづくりに取り組んでいるのが、山口県宇部市にある、中村建設株式会社です。一般的な建設業でありながら、建設業で困っている汚染水や重金属の複合汚染水を処理する機械なども作っています。こちらでは、圧電フィルムを組み込んだ箱型の装置を構造物に取り付け、その振動で電気を起こし、利用することに取り組んでいます。取り付けるのは、高速道路や鉄道などの橋やトンネルといった鉄筋コンクリート構造物。近年、鉄筋コンクリート構造物からのコンクリートの剥離・落下が社会問題となっています。これらの原因の一つが、構造物の中の鉄筋の腐食です。その腐食を防ぐことができないか?そこで、目をつけたのが、古くからの技術である電気防食。金属に電気を流すことで錆などの腐食を防ぐというものです。中村建設では、自動車や列車などの走行による振動を利用して電気を起こし、鉄筋の腐食を防止するための実証試験を繰り返しています。

山口発!新規産業の創出!!

やまぐち産業振興財団では、圧電フィルムを用いた新規産業を2つの分野で開発しています。しかし、将来的には、農業分野など、様々な分野での活用を期待しています。また、現在は山口県の企業を主体に開発を進めていますが、広島県をはじめ全国の企業と連携して、新製品の開発・販売を行っていきたいとも考えています。

企業情報
会社名

公益財団法人やまぐち産業振興財団

業種学術研究,専門・技術サービス業
事業内容 (1)経営課題に係る相談・支援に関する事業 (2)経営・技術等に係る情報の収集・提供及び情報化の支援に関する事業 (3)経営・技術等の人材育成に関する事業 (4)設備投資の支援に関する事業 (5)創業及び事業化の促進に関する事業 (6)新商品・新技術等に係る販路開拓の支援及び下請取引のあっせん等に関する事業 (7)技術研究開発等の支援に関する事業 (8)技術交流・技術移転の促進に関する事業 (9)損害保険代理事業 (10)その他この法人の目的を達成するために必要な事業
所在地 山口県山口市熊野町1-10 NPYビル10階
お問い合わせ TEL:083-922-3700 FAX:083-921-2013