今回のポイントは「技術を積み上げまとめる」ことにある。

川﨑社長と中小企業での新事業新商品のポイントについてインタビューをした。KAZUMの軸となる技術は機械加工・溶接・組立にあり、しかも大型であって精度を必要とする超高速印刷機の輪転部品や輪転ユニットを大手企業に主力製品として供給している。機械部品は大きくなほど組み立てるのは難しく、設計・調達・製造に渡り長年にわたって高度な技術を積み上げてこそ、信頼ある製品として展開できる。数年前から取り組んできた真空圧空成型機(シート成型機)は突然できた新商品ではなく、川﨑社長が会社にもう一つの軸となる事業が必要であることから、そのきっかけをずっと探索して出会った事業とのこと。大手企業の事業譲渡を受けたことがもととなり、これに、自社で培ったきた技術とアイデアを組み合わせていくことでKAZUMのオリジナル成型機として生まれ変わって市場投入した製品となっている。新たな事業の創造はまったく０から開始するだけでなく、良いタイミングで自社に導入することで早く完成度の高い新製品を立ち上げられる。

シート成形機は大きな成形シートを短時間かつ均一に加熱する必要がある。特に環境対応のシート素材は温度調整幅が１℃と難しい。さらに、省エネニーズは高く加熱電力をいかに抑えるか。この課題解決に取り組み、難しい素材でも成形でき、かつ、他社に比べ約40％の電力削減を実現している。オリジナル技術を開発するからこそ差別化が図れるといえる。成型機でできる製品はなにも国内だけではなく、むしろ海外での展開が期待される。川﨑社長は中小機構の海外支援事業を活用して展示会や商談に積極的な活動を進めている。日本製は高い機能やゆるぎない信頼があり、それに応える製品を投入すればまだまだ多くのチャンスがあるとのこと。

川﨑社長は装置を組み上げるためには、社内外の技術・技能と必要な部材や部品をまとめ上げていくことが重要としている。まさに新事業新商品の開発は業種に関わらず、どの中小企業にも「技術を積み上げ」、様々なアイデアや情報、技術を集め、価値ある商品として「まとめる」

これからの企業の発展には重要な課題となる。