今回のポイントは、“経験が生み出す価値の創造”

オオコウ電設さんを訪問し、開発に関わった社長とメンバーとお会いし、インタビューをしてきた。自社で開発したキャタグルマと呼んでいる作業台兼用台車も見てきた。

作業台にも運搬台車にも使える車輪付きの脚立で、車輪部分が動くように工夫されている。

作業現場に荷物と一緒に脚立を運べる一石二鳥の道具になる。

　もっと楽して仕事しよう、がオオコウ電設の信条にあり、その意向から開発した製品となる。

大鴻社長は社内業務には余裕時間を多く作りたい、余裕時間は社員の自らの能力向上や新事業、新商品を開発する創造的な時間にあてて、自社のため・顧客のためになる会社にしていきたい、との思いがある。

　キャタグルマは現場の意見を聞いて開発に至ったそうだが、現場の経験者は顧客も自社内も大切な存在で、特に様々な経験を積んだ中途採用者こそが、中小企業の現場で大きく活躍してもらえ、社長も大いに気にかけて業務に関わってもらっているそうだ。現場管理はもちろんのこと、現場での課題やその解決方法は視点を変えることで、新たな価値を生むことにつながる。このような取り組みが社内の若手にも通じることで、会社の活力が生まれるとのお考えだ。

　経験が新商品新事業につながることは多い。ただ、課題となっていることをクレームとして認識するのか、解決して付加価値を上げることへ工夫するかで大きく変わる。クレームは多くは経験を積むと対処したり回避するなどその場で何とかして行く。一方で、その課題を改善し、将来の製品やサービスに活かし、付加価値を高めようとすれば、アイデアのもとになる。経験の考え方・使い方で生み出す価値は変わるといえる。

　もっとああしたらよくなる、こうしたら使いやすい、喜んでもらえる、と言ったディスカッションができると社内も明るくなる。

　大鴻社長はキャタグルマを特許出願には広島県発明協会に相談したり、情熱企業に出演するきっかけは特許庁のイベントだったり、支援機関への相談やセミナー参加を積極的にしてきたとのこと。協力してもらう経験者に多く接触すると開発も進めやすい。

　オオコウ電設の新商品が活躍することを楽しみに期待している。